ノブカークラフト代表姫野信夫さん


――:苦労された3年間以降は、いい調子で上がってきたんですね。
姫野:そうですね。でもねー、佐伯市でいくら頑張っても大分市の人は買いには来てくれないんですよ(笑)。たまに来ても、結局は買ってくれなくて・・今思うと、大分市の人は「わざわざ佐伯まで行って買う?」みたいなのはあったんでしょうね。九州の人って上昇志向が強いですからね。今はネットの普及で昔ほどではないですが・・・。
――:上昇志向ですか。
姫野:そう。上に向かって行って買い物するでしょ?
――:あー言われてみれば。
姫野:道路事情も良くなり、行動範囲が広がれば、人は上へ上へと意識が向いていく。田舎者指向っていうか(笑)。
――:(笑)じゃあ大分市でやろうと。
姫野:6~7年ぐらいして景気も良かったんで、大分市でやろうと決心したわけです。でもこれも大変だったんですよね。店舗もなかなか良い物件が見つからなくてね。それに大分にお客さんは全くいない訳ですよね?いきなり佐伯から大分に出て来て・・それはもう、無謀というか(笑)。結局、なかなか良いところが見つからなくて、あきらめて新車のソアラを現金で買っちゃたんですよね(笑)。
――:ええ!ソアラって当時高いでしょ?
姫野:ホイールやオーディオなんかもいれてかなりの金額を使いましたねぇ。大分に出てくる資金を使っちゃって(笑)。悲惨なのは、そのすぐ後に『いい空き店舗がある』って電話がかかってきちゃってね(笑)。人生ってそういうものですね。
――:どうしたんですか。
姫野:いやーこればっかりは無理してお金を借りましたねぇ。ここを逃すと他の誰かに借りられちゃうから・・お金が貯まってからじゃ遅いし・・。計算も大事ですが、『今がタイミング』っていう判断をできるかだと思うんですよね。事業計画は作りますが、臨機応変にもやれてこそだと思うんですよね。全てが100%揃ってスタート!なんて絶対ありえないですから。
――:ああ、なるほど。
姫野:これはあくまでも私の考えですが、会社に勤めている人の大多数は、『自分で何かやりたい』思っているんですよ。違いは一歩踏み出すか、出さないかでしかないんですよね、単純に。『俺ならできる』とか『いつかやる』とか言うのは簡単ですが、一歩踏み出さない事には何も始まらないと思います。
――:でもそこには不安材料がたくさんある訳ですよね。
姫野:それはもちろん。だから安全な材料をたくさん集めてからスタートします(笑)。でも、幾ら集めても、不安材料はなくなりません。最後は気持ちの問題だと思います。


――:そのあたりがその後の行動につながってるんですねー大分に来られてからはノブさんの知名度がぐ~んと上がりましたよね。
姫野:ええ、おかげさまで。大分に出てからは皆さんに知っていただく為に、パルコの駐車場でのイベント(ドレスアップイベントを平成7年~11年まで開催)や、ベイサイドルネッサンス(西大分港にて8月に深夜までのイベント)に出展させていただいたりしたんですね。大分市は佐伯よりもはるかに情報がありましたし、見える物も違うし・・やっぱり大分に来た以上は、『色んな形で行動していこう』と思いました。この頃から県外にも出かけるようねなったんですよね。
――:やっぱり上へ↑上へ↑上昇してますね(笑)。
姫野:そうそう(笑)。だからその後は、大阪や東京行ったりとかー、ついに憧れのアメリカに行くまでになって。
――:おお!ついにアメリカ上陸ですか。
姫野:ええ。最初に行ったのは10年ほど前ですが感動しましたね~(かなり感激した様子)カルチャーショックはもちろんですが・・あ~~遂に来た~!みたいなね(笑)ほんとうに、そこら辺のゴミ箱だろうが、電話機だろうが、自転車だろうが、全てがカッコよく見えて、なんでもかんでも写真に撮ってましたね(笑)。
――:(笑)。プライベートだったんですか?
姫野:いや、仕事を兼ねてです。でも僕らは好きでやっているから趣味と実益じゃないですけど、近いところにはあるんですよね。だからあまり判別する意識はないですよね・・・。それとアメリカに行って初めて感じたのは『文化の違い』ですね。当たり前でしょうけど全然違うんだな~と体感しましたねー。
――:例えば?
姫野:やっぱりこっちから見ると、何でもおおらかに見えますねぇ。日本人ほど細かい事は全く気にしないというか。飛行機でも、30分遅れようが1時間遅れようが、あまり気にしないんですよね。『あ~こんなこともあるな~』みたいなね(笑)。日本人だと10分遅れても『ど~なっちょんかオイ!次の仕事どうしてくれるんじゃ~!裁判沙汰じゃ~!』みたいなね(爆笑)。極端な例で言うと、アメリカ人と取引をしますよね。そして商品を送ってもらうときに、日本ではお届け日、さらには時間指定までできますよね?でも向こうは一週間ぐらい遅れても普通に思ってますからね(笑)。予定日より2~3日遅れて催促の電話すると『ノブさん、そんなことを言うのは日本人だけよ』ってね。日本人とは時間の物差しが違うんですね。世界的に見ると色んな考え方があります。