OITA-TOPS代表坪井健一郎さん


――:音楽に関しては情報の少ない時代だったから情熱があったのでしょうね。
坪井:裏を返せば今の子たちは演奏できる環境もあって幸せなんだな~と思うよ。自分たちの事だけに没頭できるから。
――:ですよね。話は戻りますけど、バンドをやっているうちに、プロになりたいという願望はなかったんですか?
坪井:身近にいる友達なんかがグッバイ(当時アイドルだった野村義男のロックバンド。大分出身のドラマーがメンバーで活躍)ってバンドでザ・ベストテンとかに出てるやん。自分たちも頑張ってやればプロになれんじゃないか!!みたいな欲が出てきていたのは確かだったよ。でも事情があって人気のあったジャンキーを脱退したから、また自分のバンドでボーカル&ギターに戻ってよ。さあ!今からって感じで。
――:ガツーンといきました?
坪井:ダメ!!!!(笑)。
――:(笑)なんで!?
坪井:う~ん、ボーカル&ギターとしてのフロントマンに向いてなかったんだろ~な。全然人気が出ないというか。ベーシストとしては、パルコの地下で400人も動員したりするバンドに在籍していたし、バンド仲間にも恵まれていたと思うけど、いざボーカル&ギターとして前に立つと、違和感があるというか、ちょっと違うんだよね。「やっぱりスポットライトを浴びる人間ではないな」と感じ始めたんだよ。ベースを演奏している時は自分も楽しいし、「ベースでもやってみようかな」と。
――:へえ、自身の適正を分かっていたんですね。
坪井:400人も集めたバンドでベース弾いてたんだけど、このバンドはすごく俺の中ではデカかった。メンバーの考え方なんかは俺自身、今でも影響されている部分はあると思う。解散した後、他のメンバーたちは一人で音楽活動をしていたり、弾き語りでオーディション受けたりして、その姿にどこか影響を受けたかな。でも、自分のバンドでボーカル&ギターに戻るも鳴かず飛ばずだった(笑)。うまくいかなかったしメインでは無理だなと再認識させられたよ。


――:さて、その後高校を卒業されてからはどうされていたのですか?
坪井:高校生活も色々と波瀾万丈だったけどなんとか無事卒業して(苦笑)、その後は夜の世界にどっぷり浸かっていたかな。まあ水商売だけど相変わらずバンドは好きで転々としながら、ライブなんかこなしてたね。パブで真面目にコツコツ働いていたんだけど、お店のオーナーがいい人でね。『新しく店を出すからどんな店がいいかお前が決めろ』『・・ライブハウスがやりたいですね』『じゃあ色々見て回ってこい』って言ってくれて。
――:へえ?
坪井:俺がライブハウスをやりたいと思うようになったのもこの頃だったと思う。当時からお酒が飲め、バンド演奏ができるような店に、憧れがあったから言われて嬉しかったよ。その思いをオーナーは分かってくれていたというか。
――:出会いに恵まれていますよ。
坪井:そうやね。俺は音楽を通じて、良い出会いをさせてもらってる。