OITA-TOPS代表坪井健一郎さん


――:(笑)ご苦労さんです。そのDRUM-TOPSが15年続いてOITA-TOPSというライブハウスを立ち上げられました。そのいきさつを教えてください。
坪井:もう立ち上げて3年になる。とにかくDRUM時代は統制という名の下に、次から次へという感じがあった。最初は個性重視のスタイルだったのが、熊本、長崎が誕生して店舗も増えると、「何か違うんじゃないか。15年間大分で個性を大事にやってきたことは無になってないか」って思うようになったんだよ。退社してイチから自分でやってみようかと考えるようになった。年齢的にやり直しがきかない頃だったし、今しかないなと思った。みんなも分かってくれると思ってね。
――:最近、大分の老舗だった某楽器屋さんがなくなったじゃないですか・・大分の音楽に関わるシーンがすごく寂しくなってますよね・・18年も大分で頑張っている坪井さんが今後長年やっていく上で気をつけている点などあります?
坪井:(キッパリと)潰れないようにする。
――:えっ?いや、それはそうですけど(笑)。
坪井:笑っているけどそうなんだって。趣味でやっていると、運営がどうとか企業努力がどうとか、そうゆうものがないから、気に入っていた数少ないライブバーはすぐになくなっちゃう。悲しいし、つまんないよね。
――:趣味の延長になってしまうと、キツイということですね。
坪井:そう。それと、潰したくないもう一つ理由のは、大分で若い頃にバンドやってたコが就職して、何年間かは忙しくてバンドどころじゃないと思うんだ。でも30代になって時間やお金に余裕ができるようになった時に、TOPSがないと寂しいと思うんだよ。『バンドやろう!』と仲間同士で意気込んでいるのに演奏できる場所がないってツマらないでしょ。
――:それはいい思いやりですねー。
坪井:思いやりというか、その為には潰れないようにすると。
――:(笑)ですね。他に意識していることなどありますか。
坪井:う~ん、これはずっとやってきて思うんだけどー「知らない」っていうことは愚かなことかなと。
――:知らない?
坪井:うん。俺はバンド名やミュージシャン名を言われても「知らない」っていうのはすごく愚かなことと思う。ほら、そこの(カメラを指す)機材やパソコンだってどんどん進化していくでしょ?こんな時代だからアンテナを張ってないとすぐにいろんなことから遅れていっちゃう。物事に対して壁を作ってしまえば偏った知識の人間になるよね?知ったかぶりとかじゃなく、使えて知らなきゃ意味がないから常に新しいことは勉強している。
――:常に向上意識を持つと。
坪井:うん、続けていくには絶対必要だろうね。機材に関してもそうなんだけど、最近は韓国製なんかの格安機材が手に入って、脱サラしてライブハウスをやろうっていう人間がいる・・。でもそれだけじゃ~ね。どんな職業でもそうだけど、経験や知識って絶対に必要なんだよ。積み重なった経験や知識に勝てるものはないと思う。だから新しいことには拒むことなく貪欲になって取り入れたいと思っているね。
――:それはOITA-T.O.P.Sという形になってさらに思いが強く?
坪井:いや、前から思っていたことだね。俺は完全にビジネスでやってるわけだろ?道楽でやってるわけじゃないからさ。だけど、ビジネスって言っても全て数字だとは思ってないんだよ。だから、売れているバンドしか出演させないということはないよ。逆にお客さんが少ないバンドの方が多いくらいだよ、ほんとに。そのバンドにはそのバンドの『旬』ってものがある。「今、このタイミングでお客さんにCDが届けばきっと後になってリンクされて返ってくる」っていう気持ちで導線を作ってやる。もちろん最初は数字じゃ反映されないよね。でもそれを支援してやっていくというかさ。だからある意味、やり続けているバンドとの付き合いは一生ものだから。
――:なるほど。旬な時こそ応援していきたいですよね。長くなりましたが、今後、OITA-TOPSに来ていただくお客様にメッセージなどあればお伝えください。
坪井:俺が思うに音楽というものは、みんなの生活の中でどんどん消費されて、最後にはただのBGMにしかなくなると思うんだよ。昔はレコードを拭いて、ターンテーブルに置いて、座って、そして聴くという流れがあったから、音楽鑑賞という趣味が成り立っていたんだけど、パソコン上でデータ化されて情報が飛び交う中では、アーティストの個性もアート性もなくなっていくんだと思う。・・だけど、同じ音楽というフィールドの中で、ライブは他のものとは異なるんだよ。どうしてだか分かる?それは常に『生モノ』だから。ライブってその瞬間、瞬間で過去に変わっていき、常に新しいものが生み出されているんだよ。演奏するアーティストも観に来てくれるオーディエンスも、その瞬間、瞬間で表情が変わるんだ。だから来てくれるお客さんは、後ろで観てるんじゃなくて前に来てバンバン楽しんでくれると俺の言っている意味が解ってもらえると思う。 もちろん、モラルに反することはNGだけど、楽しいって感じることはすぐに行動にしてもらいたい。前でバンバン乗って、他人の視線が恥ずかしくっても周りはその日にだけにしか会わない人達ばっかりだろ?見てる人達はだ~れも気にしないって(笑)。そんな事気にせず、常に『生』を体感してほしいね。ライブはその瞬間、瞬間を映し出すから。
――:今後も頑張ってください、応援していますよ。本日は長い間ありがとうございました。


坪井さんプロフィール

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  • Homepage: http://www.oita-tops.com/