有限会社リミックス代表永田耕一さん


――:基盤を作る大変な頃でしょうからね。
永田:それで何とか300万は貯めたんですよね。でも、300万じゃ洋服屋さんは厳しいですよね?……だけどちょうどその頃私の妻の…まあ、義理のお父さんが亡くなったんですよ。……そしたら相続で300万いただいて。もう……私としたら宝くじでも当たったような気分ですよね。
――:じゃあ、それを開店資金に?
永田:ええ、それで駅前の「HEART」をオープン出来たんですよ。レディース物メインのの洋服屋を。
――:いやーおめでとうございます!
永田:でも2〜3年は給料なしですよ(笑)。とにかく「セレクトショップ」はブランドが武器になりますから、他社がおさえる前に何とかおさえておこうと思ってましたんで、走りまくってましたねー。東京出張に年40週は行ってましたし、展示会だけでも600回は足を運んでましたからね。でも、やっていて楽しかったですし、当時は「セレクトショップ」自体がブームでしたからね。…何年かして気がついた頃には……お店も3店舗、4店舗になりましたし、県内でもトップのブランド取扱いセレクトショップになりましたから。
――:日田の人たちってブランド好きが多いとか?
永田:いや、田舎ですから大分市に比べれば文化レベルも低いし「値段が高い」っていう印象でしたね。でも、それを何度も繰り返していると「雑誌に載っているものと同じだ」って気にしてくれて足を運んでくれるというか。……でもウチはお店自体には一切お金をかけなかったんですよ。何故かと言うと「良い接客とサービス」を間違いなくしていれば必ずお客様は来てくださると確信してましたから。少々ダサいお店構えでも一切お金かけなかったですね。クレープ屋を始めた頃から学んだ事でしたので。
――:その頃に築き上げたものってずっと残るんでしょうね。
永田:おかげさまで最初のお店を出して10年です。……まあ、今まで怖いものがなくて若かったていうのもありますが、前向きに取り込んでいけましたし、半分は運で半分はいいスタッフに恵まれたっていう事に尽きるでしょうね……。
――:リミックスさんはスタッフもオープン当初から変わられてないという。
永田:ウチは「スタッフ募集」ってしないんですよ。よく飲食やアパレルなんかお店の前に「スタッフ募集」って張り紙してたりするでしょ?あれは私から言わせれば失礼ですけど「馬鹿」だと思います。だってその辺を歩いている人に「スタッフにどうぞ」って言ってるんでしょ?ああいった行為が業界を低くしてますよね。学歴も職歴も関係なく誰でも働けるっていう意識の表れでしょ?それじゃ駄目だと思うんですよねえ。私共は常に高い意識をもって存在したいと思ってますから、徹底して「プロ意識」に対してのこだわりはもっていたいですね。
――:なるほど……永田さんは生涯現役でいたいですか?
永田:いえ(笑)。私自身、小売りは45歳までと思ってますよ。
――:そうなんですか?それからの展開は考えられてて。
永田:微妙なところ(笑)。ええ、もちろんお店は続けますけど、私自身は45歳ぐらいをメドで考えてますよ。
――:一昨年ですかね?豆田町(日田市の観光名所)に「豆田ロール粋」をオープンされましたよね。そのいきさつはどういった事で。
永田:豆田町は観光名所で年間多くの観光客が訪れる城下町ですよね。でも感じていたのは和菓子のお店って多いのですが、洋菓子屋さんって少ないんですよ。
――:ああ、なるほど。
永田:昔、クレープ屋をやっていた頃にお客さんで来てくれていた和田っていう男がいましてね、まあ、実は彼が「豆田ロール粋」のオーナーシェフなんですけど。彼は自分の飲食のお店をやりながら「実は面白い企画があるんですよねー」って話してくるわけですよ。
――:ええ。
永田:ちょうど同じ頃に、私の知人が豆田町で化粧品のお店をやっていたんですけど、「お店を半分にしてもいいから、雑貨でも委託で置いてくれんね」って言うんですよね。当然、豆田町に化粧品って結びつかないですよね?親戚は観光には関係なく趣味みたいな感じで営業してたんですよ。……まあ、雑貨じゃ仕方ないから、シェフの和田と相談して「ロールケーキ」っていうところに辿り着いたんですよね……豆田町にはない洋菓子屋だし、面白いかなと。お店はあるわけだし、オープンするにあたってコストがかからないだろうと思って。
――:そうですよね。